研究会をハイブリッドで行ってみた結果

こちらの記事の続きです。

以下のような設定で研究会を実施してみました。やってみて分かったことを備忘録代わりに残したいと思います。

① パソコン ② ミラーレスカメラ ③ スマートフォン ④ 発表者・司会者マイク
⑤ フロアマイク ⑥ プロジェクタ ⑦ スピーカー

0.概況

基本的に、最初に想定していた通りの設定でうまくいきました。心配していたハウリングも起きませんでした。ネットへの接続はLANケーブルが使えたので、安定していました。wifiは便利ですが、クリティカルな時はLANケーブルを使う安心感があります。

1.配線

配線は上の図の通りですが、実際はこれに加えて、パソコンの電源ケーブルがありました。またスマートフォンの電源もどこかからとる必要があります。さらに、ミラーレスカメラがUSB給電に対応していないため、電源が必要でした。

今回使用したものはUSB-Cを搭載したパソコンであったため、USB-Cハブを接続し、そこに電源ケーブルを挿してパソコンに給電し、スマートフォンのケーブルも挿してスマートフォンに給電しました。プロジェクタのケーブルもここに挿して接続しました。LANケーブルもここです。

上の図のプロジェクタとの接続部分のUSB-C端子が空いたので、そこにミラーレスカメラの外部給電ケーブルを挿しています。

何が言いたいかというと、配線があちこちに伸びているということです。私にとってはそれぞれの機能がはっきりしているので混乱することはありませんでしたが、これだけケーブルがあると、うっかりどれかを持ってくるのを忘れそうです。

ちなみに使用したUSB-Cハブはこちらです。端子の数が十分で、パソコンへの給電ができ、ディスプレイへの出力にHDMIとVGAの両方が使え、LAN端子もあり、今回のようにケーブルをたくさん接続しても安定しているので重宝しています。薄くてプラスチック製の外装ですが、1年以上使っていて、不具合はありません。普段使いというより、モバイル用途です。ケーブルが収納できて便利ながら、フラットケーブルであるため左右に曲げるのが得意でないのが難点です。

モバイルドッキングステーション
https://www.elecom.co.jp/products/DST-C05BK.html

2.映像について

今回、ミラーレスカメラには35mm換算(が何か分からない方は検索してください)で24-70mmの標準レンズをつけていました。フルサイズですので35mm換算ではなく、35mmそのものなのですが。

発表者、司会者が3人掛けの机の両端に並行に座り、その前にもう1つ3人掛けの机を置き、そこにミラーレスカメラとパソコン、スピーカーを置いていました。司会が喋る時には、24mmの広角にして2人を画面の中にいれ、発表の間、ディスカッションの時間はズームをして発表者を大きく映しました。私は司会をしていたのですが、私の前にミラーレスカメラを置いて、手動でズームをしたり、カメラの向きを変えたりしました。机を2つ並べた距離だからできたことです。

しかし、この設定では、広角側24mmで発表者、司会者を捉えるのがぎりぎりでした。ズームをしても50mmまでは使っていなかったと思いますので、次は14-30mmを使ってみたいと思います。

スマートフォンはiPhoneの背面カメラを使用しました。zoomに接続すると前面カメラが起動するのですが、カメラを反転させて背面のものを使用しました。一般にスマートフォンのカメラは前面のカメラよりも背面のカメラの方が性能が上です。司会者の前に三脚を立て、三脚にスマホホルダーをつけ、そこにiPhoneを横向きに置きました。

スマートフォンのカメラは一般に広角で、iPhoneの場合も35mm換算で26mmから29mmくらいなのですが、それでも36人定員の会場を映すには手狭でした。最近のiPhoneであれば超広角14mmにもできますが、そうすると今度は遠近感が強調され、会場の後ろの方の人が小さくなりすぎます。今回は人数が少なく、フロアの参加者が画面の中に入りましたが、人数が増えると難しいかもしれません。

映像の質については、蛍光灯が明るく照らしている限りは、スマートフォンのカメラでも問題はなく、実際今回も質が高いとは言いませんが、問題のない画質でした。

3.音について

一番心配していたハウリングは想定していた通り起こりませんでした。やはり音声の入力と出力は1台のパソコンにまとめるのが良いようです。

問題というか、調整が必要だったのが、発表者・司会者マイクとフロアのマイクの切り替えでした。通常は発表者・司会者のマイクから音声を拾っています。司会者が司会をして、発表者が発表をしているためです。しかし、ディスカッションの時間になるとフロアの参加者がフロアのマイクを使って喋ります。今回使用したLark 150は公称100mの伝送距離があり、部屋の中で数m離れただけの接続には全く問題がなかったのですが、距離が近いがゆえに、フロアのマイクで喋っている時に、同時に発表者・司会者のマイクがその音を拾ってしまう、ということが起きてしまいました。これが1つの音としてパソコンに入力され、オンラインの参加者に届くため、音声が二重になって聞こえることになります。

今回使用した発表者・司会者マイクはYetiで、本体にミュートボタンがあるため、最初はそれを押して、音声が二重に拾われるのを防いでいました。

ところが、今度はフロアのマイクが発表者、司会者の音を拾うという問題がおきました。Lark 150のマイクにはミュートボタンがついていて、それを押してミュートとミュート解除をしてもらっていたのですが、フロアの参加者としてはそれを忘れがちで、その度にミュートのお願いをするのも流れを中断してしまいます。Lark 150のミュートを解除して、フロアからの質問、Lark 150のミュートをしてもらって、Yetiのミュートを解除、発表者が回答して、Yetiのミュート、Lark 150のミュートを解除して、フロアからの質問、という流れの中で、ミュートを忘れたり、解除を忘れてしまうわけです。それはそうですね。

そのため、途中から手元のパソコン上で、LadioCastのボリュームを操作する方法に切り替えました。

LadioCastの使い方については1つ前の記事で書いた通りですが、「入力1」「入力2」の下にメモリがあり、音量の操作ができるようになっています。フロアからの発言と発表者の発言に合わせて、このメモリを操作していました。ここにミュートボタン、もしくはスイッチングのためのボタンがあると一番良いのですが、それはこのソフトの目的に適うものではないため、望めないことでしょうね。

でも、こちらの手元で操作ができたため、議論の流れを切ることなく切り替えられて、便利でした。

残念ながらオンライン参加者に聞こえている音をモニターできていなかったため、これがどの程度スムーズに働いたのか、どのような音で聞こえていたのかは分からないのですが。

結局使い切れないところはあったものの、本体にミュートボタンがついているのは便利です。マウス操作で小さなボタンを押すよりも、自分の指で物理ボタンを押す方が容易です。今回初めてYetiを使いましたが、その点は良かったです。どのような音になっているのかはそのうち録画してみようと思います。

誤算であったのはYetiが重たいところです。マイクが550g、スタンドが1kgあるのです。そのために少々のことでは揺らがないし、それによってがたがたした音を立てることもないのですが、今回のように外に持ち出すには重たいマイクでした。ちなみにLark 150は20.5gです。

Lark 150
https://www.hollyland-tech.com/products/detail-49.html

Yeti
https://www.bluemic.com/ja-jp/products/yeti/

4.モニタの設定について

オンラインの参加者を映すためにプロジェクタを使用しましたが、これはその時々で、手元のパソコンの画面とプロジェクタの画面を同じにするミラーリングに設定したり、パソコンの画面とプロジェクタの画面を別のものにする拡張モニタで使用したりすると思います。今回は拡張モニタの設定を取りました。

もともとは特別な意図があったわけではなく、Macは通知があったときにそれを画面上に表示することがあるため(何が表示されるかは設定次第です)、拡張モニタにしておけば、手元の画面に通知が出て、プロジェクタには影響がないだろうと思ったのです。もちろん、プロジェクタ側にzoomのウィンドウを広げていました。

しかし、途中から先ほど書いた通り、LadioCastの操作を始めました。拡張モニタにしてあったおかげで、この操作が投影されることなく、手元の画面をいわばミキサーとして使うことができました。

それからさらに、zoomのチャット機能を画面からポップアップさせて、手元のパソコンの画面に持ってきました。zoomのチャットや参加者表示は、ポップアップさせて別ウィンドウにすることができます。チャット欄の左上の下向き三角を押すと、このように、「飛び出る」を選べます(どうしてこんな訳なのでしょう)。これでチャット欄がウィンドウ化されます。

私のところには、オンラインの参加者から、声が聞こえないとか、先ほどのような音声の問題があった時に、二重に聞こえる、とかの報告が入ります。それに対して、調整をしてみます、どうでしょうか、直りました、ありがとうございます、いえいえ、などのチャットをするわけです。それがいちいちプロジェクタで投影されるのは具合が良くなく、この機能のおかげで、こうしたやりとりを手元の画面上で済ませることができました。

ちなみに、ウィンドウ化されたチャット欄は、今度は右下の三点リーダを押して、「ミーティングウィンドウにマージ」を選ぶと、チャット欄に戻ります。なぜポップアップの時としまう時とでメニューの場所が違うのかは不明です。

5.総括

総じて、手元のパソコンで音声の操作とチャットによるやり取りといった裏方の仕事をこなすことができました。その意味でも、最初に想定していた設定と配線の仕方で良かったのだろうと思います。音声の操作を考えると、物理的に切り替えが可能なように、ハードウェアのミキサーを導入した方が良いのかもしれませんが、その場合、YetiはUSBマイクであるため、別のマイクを探すことになります。ここは要検討でしょうか。

ハイブリッドの設定は、機材を増やせば変数が多くなり、どこをどう変えればいいかわかりにくくなります。今回はプロジェクタで資料を映すということがなかったため、画面共有を使う必要もなかったし、プロジェクタに映す画面とビデオ会議システムで共有する画面をどのように整理するかに悩むこともありませんでした。今回の設定でプロジェクタに資料を投影するとしたら、手元のパソコンで資料を開き、それをzoomで画面共有し、その画面をプロジェクタで映すことになったかもしれません。ただ、そうすると、パソコンは資料を映すために使用され、先ほどの裏方仕事ができなくなります。プロジェクタに資料を映すために別のパソコンを用意して、そちらで画面共有をして、その映像を投影するのが良いのかもしれません。そうしたことを考える必要がなかったわけです。

これでも比較的単純な設定であり、もっと単純にしようと思えば、発表者・司会者のカメラをスマートフォンにして固定したままにする、発表者・司会者のマイクとフロアのマイクを1つずつにして、Lark 1501セットで賄う、ということも考えられたかもしれません。実際にやってみると、これは視覚的、聴覚的に負担が大きかったのではないかと思いますが。

その意味で必要な水準を超えるだけの単純な設定ではあったと思いますが、もしかするともっと良い設定もあったかもしれません。もっと複雑な設定が必要な場合には、参考にならないかもしれません。

けれども、この程度の設定で十分などなたかの、何かの役に立てば幸いかなと思っています(たとえば、将来の自分とか)。

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