(この記事はnoteの転記です。タイムスタンプは2019/09/08 23:57です。)
先日「司法心理療法とその応用」入門(の試み)という長ったらしいウェビナーを行ないました。参加してくださった皆様ありがとうございます。
せっかくですので、やってみるまでに考えたこと、やってみて思ったことについてメモを残したいと思います。回を重ねるごとに感想は変わっていくことでしょう。
1.動機
ウェビナーについてはすでにネット上にたくさん情報があります。しかし、今回行なったものは、それらとは大きく性格が異なっています。ビジネスを志向しておらず、何かを宣伝しようとも何かを販売しようと思っておらず、したがって見栄え良く聴衆の興味を引くようにといったことを考えてはいませんでした。要請があって講義をすることにして、せっかくなので、他にも関心のある人がいればリーチしてみたいという動機があって開催したものです。
2.頑張らない
そのため、準備にもあまり力を入れていません。たとえば回数も月1回2月までとして9月から始めるため6回とした程度で、特に理由はありません。また、その内容も思い浮かんだことを並べた程度で、精神分析的犯罪臨床の全体像をうまく捉えるようになっているかもよく分かりません。そもそも全体像がどんなものかもよく分からないのです(大きな象に触れただけで誰が全体を想像できるでしょう)。
事前の準備も前日に頭の中を少し整理した程度で、持っている知識だけでできることに絞りました。セミナーのためにレビューをして新しい知識を入れるということをしようとすると長続きしないと思ったからです。特に発表の資料なども作成しませんでした。
3.事例の使用
けれども、1つだけ、事例については必ず用意しようと思っています。というのは、事例なしに精神分析的な理解を持つことは難しいと思うからです。精神分析が扱うものは無意識です。普段意識されているものではなく、現象を説明することが必ずしも共通のイメージにつながるわけでもありません。これが「それ」ですよ、ということを指し示せるように、実例は必要です。
けれども、何せネット上のセミナーなので、どこかで流出の可能性は考えなければいけません。そのため、私が経験した事例やSVの事例などを持ちだすことはできません。代わりに、出版されている、海外の事例を利用することにしました。当日英語を読み上げても分からないと思ったので、事例の選択と訳出だけは事前に準備を整えておこうと思っています。第1回目もそのようにしました。
4.流出対策をしなくていい対策
なにせネット上のセミナーなので、どこかで流出の可能性は考えなければいけません(こうやってコピーは簡単なわけです)。誰かが画面の向こう側で録画して、それをどこかに流せば、止める術はないでしょう。そのようなことはないだろうと思っていますが、あるいは誰かが盗視聴しているかもしれません。疑えばキリがないとはいえ、その可能性は考えて、公開の場でも話せることにとどめて発言をしようと思っています。
たとえば、有名な事件があるとして、それを取り上げることはあるかもしれません。けれどもそれはあくまで他の事例でもしばしば見られることの1つの実例としてであって、その事例特有の力動を解釈するために取り上げることはしないつもりです。そういう限界設定はある程度事前に決めておいた方がいいと思うのでそうしています。
5.視聴者の制限
視聴者はもともとこの領域に関心のある人を頭に思い浮かべていました。twitterでのツイートをしてみると思っていたよりも関心を寄せてくださる方がいて、今のところそうした方もご招待しています。今後さらに関心のある人が来た時にどうするかは考えていませんが、今回は何らかの臨床に関わっておられる方を対象としましたので、その範囲であればご招待するかもしれません。一般の人を対象とすると、好奇心をむやみに煽らないためにセミナーの趣旨をだいぶ練らないといけなくなります。それはなかなか大変そうです。
6.進行の仕方
セミナーという形式上、画面には視聴者の名前(HN可)が出ていますが、画面に映るのは私だけにしています。zoomを使っていまして、ウェビナーの契約をして、視聴者も見えないようにしても良かったのですが、そのためには月額40ドルかかります。それは(の試み)にしてはちょっとかけすぎかなと思いました。
各回は90分で、60分を講義、30分を質疑応答としています。一人でカメラに向かって喋れるのはそれくらいかな、というのと、90分以上はあきてくるかなということと、質疑応答の時間を設けたかったというのが、この理由です。特に最後の点はフィードバックをもらえるということが話をする側としての利点であるためお願いをしたかったし、一方的に話をして分かってもらえるとも思っていなかったために用意したかった時間でもあります。幸いzoomのミーティングではチャットが使えますので、これを見てリアルタイムで応答するということが可能です。このシステムはありがたかったです。
7.撮影について
本格的な撮影についてはネット上にノウハウがありますし、中にはそのノウハウを販売しているところもあります。すごい世界ですね。今回はどうしようかと思いましたが、カメラの操作を誰かに頼むような大げさなことはしたくありませんでした。YouTuberのように話しながらカメラをいじるつもりもありません。話している画面と事例を出す時の画面共有を切り替えるくらいはしますが、カメラは固定にしています。カメラ固定は案外退屈なのですが、特に引きの画面は動きが少ないので、程々にカメラの中央に位置するようにしました。
問題は背景をどうするか、どんな姿勢でしゃべるか、どこで撮るか、でした。どこで撮っているかは秘密です。背景もあまり手を入れていませんが、余計なものが移らないように、楽な姿勢でしゃべれるように、多少動くことがあるので窮屈でないようにカメラの角度や向きを考えました。光の量が足りないと画面が暗くなるため、ライトの位置を調整しました。照明器具を使うほどではありませんでしたが、顔に直接光を当ててもまぶしいので、反射光で明るくなる程度の調整はしていません。レフ板を用意するほど大げさにもしていません。
理想的には、少し遠目にカメラを置いて望遠気味で撮ることで背景をぼかしたかったのですが、そこまでのカメラの用意は出来ませんでした。次回はカメラと開放F値の低いレンズと志向性の高いマイクを用意してみるかもしれません。(の試み)として手持ちの機材で試せることはいろいろと試してみたいと思っています。
そのようなところで、やれる範囲で力を入れずに続けてみたいと思います。