アタッチメントカフェ

(この記事はnoteの転記です。タイムスタンプは2019/07/20 23:23です。)

去年まで3年間、アタッチメントセミナーというものを開催してきました。これはアタッチメントについて学ぶ基礎的なセミナーと位置づけたセミナーで、理論的なこと、査定のこと、臨床的なことの3領域について、本当に基礎的なことに焦点を絞って講師の先生方に講義をお願いしてきました。

当然ながらこのような内容であれば、毎年構成は同じようなものになります。話もそれほど代わり映えのないものです。定義上、基礎的な内容が毎年変わるということは考えられませんし、実際変わるようなものでもないからです。

しかしながら、このことは裏を返すと、私にとっても、話をしていただく先生方にとっても、毎年同じことを繰り返していることを意味します。それはあまり創造性のない仕事とも言えます。

もちろん、やりがいもそこにはあります。毎年セミナーを楽しみに参加してくださる方がいて、現場でこれを使ってみようとか、これがあれば今取り組んでいる問題に対応できるのではないか、という思いを持ってそれぞれの持ち場に帰っていただけるからです。そのために、セミナーを開催しているといっても過言ではありません。創造性があるとすれば、ここでしょう。

あまり工夫をしなくても同じことを繰り返せる惰性と、同じことが繰り返し語られることの必要性と、その対立的な2つの考え方の間にあって、自分がやっていることを見直してみたくなりました。そのために、今年度はいったんセミナーを休みにしました。

でも休めば何かが見つかるかというとそうでもないので、これまでセミナーに参加されてきた方が、その後どのように活動されているのか、何が良くて何が足りなかったのか、これから何を求めていて、セミナーには何があれば良いかのフィードバックが必要でした。「アタッチメントカフェ」はそのような場として開催したものです。こうした場を持てば、参加者同士のつながりや情報交換や、うまくいけば協働が起きるかもしれない、という期待もありました。

実際にカフェをやってみてどうだったかは、参加された方が抱く感想に委ねたいと思いますが、私が感じたのは、アタッチメントの取り入れが熱心な領域はやはり社会的養護であること、特に大阪でその傾向が強いこと、分かっていたことですが大阪にはそのような熱意を下支えする人たちが多くいること、しかしそれ以外の地方にも熱心な人たちは居ること、そして母子保険や保育の領域でもアタッチメントへの関心は広まりつつあること、司法矯正はむしろ発達障害をどのように視野に入れるかという問題が生じていること、教育の領域では潜在的な可能性はありながら現実化した動きとしてはアタッチメントの実践への取り入れはまだこれからであること、加えてこうした場に集まる方は現場の方が多く、研究の話がほとんど出ないこと、などでした。

それについて私が戦略的に何かをしようとはあまり思っていません。私1人の力でできることは限られていますし、いまのところアタッチメント研究者が社会的なムーブメントを牽引しようという動きもないためです。自律的にアタッチメントの取り入れを実践している人のいるところに、次の発展が生まれてくるでしょう。私はその手伝いをするか、一緒に何かをすることになるのでしょう。

今回のカフェを通して寄せられた要望は、結局、アタッチメントセミナーを継続して、淡々と同じことを繰り返し、アタッチメントカフェを定期的に開催し参加者同士の話のできる場を作ること、その後の段階として専門分野別の事例検討の場を作ること、でした。それは私がセミナーの1、2年目に構想していたことそのままです。誰が考えてもそのようなことになるのでしょう。

基礎的なことを積み上げて、広くつながりを持ちながら、自分たちの仕事に直結する領域特化の深まりの場が欲しい。

アタッチメントセミナーはアタッチメント研究者の協力を得て開催しているものですが、その主催は私一人でやっているもので、いわば個人のプロジェクトです。そのため、どこにどのようなニードがあるかをおおよそ把握できたとしても、その全てに応えるキャパシティはありません。私に出来ることをして、私に出来ないことは誰かに補ってもらいたいと思っていますが、今回のカフェを終えて、ひとまずは安定的に、恒常的に、基礎的セミナーをすることは、どの領域であれアタッチメントが取り入れられるために求められているのだと改めて思いました。

それから、おそらくこうして自発的に学びを深め、応用を図ろうとする人は、今回カフェに参加された方を含め全体の15-20%くらいではないかという感触も持ちました。この15-20%くらいの人たちが何を持ち帰り、残りの80%くらいの人たちが何を持ち帰れるといいのか、という点からセミナーのあり方を考えてみることができそうです。

定員を増やすこと、映像化すること、ネット配信をすることなどのアイデアも出ましたが、どうでしょうね。行動問題について、男性養育者への対応について、甘えとの違いについて、などの要請もありましたが、どう構成しましょうか。

私に何が出来るのか、もう少し考えてみたいと思いますし、今度は違う形でカフェができても良いかも知れません。

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